「この世界に 僕たちが生きてること」
すばらしいドキュメンタリー番組を見た。難病、筋ジストロフィーと戦いながら絵を描き続ける河合正嗣(まさし)さんに密着した番組だ。一瞬たりとも目が離せなかった。
筋力が日に日に衰えていく中で、彼は人の微笑を描き続ける。絵はそんな困難をみじんも感じさせることなく、心から人を和ませる力を持っている。
「こんなに苦しみながら人の笑顔を描くのは、なんだかウソをついているような気がして」、と言う。ここに、彼の生き方に対する姿勢の一端がうかがえる。
知らなかったが、番組は以前二度放送し、反響があまりにも大きいため追加の映像も含めて再々放送となったという。以下はNHKの番組紹介文。
愛知県・旧下山村(現 豊田市)の山あいの静かな地区に、家族が営む素敵なカフェ「ときどき館」がある。そこには双子の画家が描いた美しい絵が飾られている。
河合正嗣(まさし)さん、範章(のりあき)さん。難病、筋ジストロフィーとともに生きてきたが、弟、範章さんは、すばらしい油絵を描き上げた直後に、眠るように息をひきとった。23歳だった。同じように病気が進行していた兄、正嗣さんは、声を失うかわりに気管切開手術を選択し、一日でも長く、絵を描き続ける道を選んだ。
そうして正嗣さんが描き始めたのが「ほほ笑み」の絵だ。手術をした病院でモデルを募集、命を支えてくれた医師や看護師、そして入院している患者たちの笑顔を、一人一人時間をかけて丹念に描いていく。目標は、110人。「1(ひと)10(と)人(ひと)」、人と人がつながる、という意味をこめる。
たとえ世界がどんなに絶望や苦しみに満ちていても、それでも人は「ほほ笑む」ことができ、人生は生きるに値する。
そんな「ほほ笑み」を求めて、鉛筆の繊細な線で画用紙に優しい笑顔を浮かび上がらせてゆく。

Recent Comments